最近は業務が忙しいせいもあり、行政やマンション管理士会から依頼されるセミナー講師についてはお断りをしていましたが、たまたまスケジュールの調整がついたので講師をお引き受けすることにしました。
依頼元は、公益財団法人事東京都道路整備保全公社です。
マンション管理とは全く関係のなさそうな団体からの依頼で当初はびっくりしたのですが、計画道路のための用地買収等を行う団体だそうです。
事業を進める際に、ときどきマンションの敷地、建物及び附属施設等がその対象となることがあるので、マンション管理に携わる立場の人から話を聞きたいとのことでした。
参加者は、用地買収関係を主なお仕事としている公務員の方々となります。
私は、約12年のマンション管理士の経験の中で、クライアントが用地買収を受けたという経験がないので細かなイメージが分からないことや、そもそも用地買収の手順等も全く知りませんでしたので、私にとっては荷が重すぎると思い最初はお断りしました。
しかし、公社のご担当者が何回も私の事務所に来られて、セミナーの趣旨や用地買収の手順及びマンションの区分所有者と交渉する時の苦労話等を熱心にご説明いただきましたので、引き受けることにしました。

当日のセミナーのメインテーマは、「マンションの管理者側から見た用地取得」です。
マンション管理と用地取得は関係ないように感じますが、副題は「マンション管理組合とのじょうずな付き合い方」とし、「用地の取得=マンション敷地の提供」という事業を進めていくうえで、マンションの区分所有者や管理組合とどのように交渉していけば話がスムースに進んでいくかという点を主体にお話しさせていただきました。
また、第2部では「マンションの大規模修繕工事」をテーマに話をさせていただきました。
これは、用地取得の際にマンションの建物(マンションの一部や附属建物)が、計画ラインにかかっている場合には、建物の取り壊し等も関係するのでその際には取り壊しと当時に大規模修繕工事を検討することもあるとの理由からテーマにしました。

当日の様子

140925seminar-01.jpg テーマは、「マンションの管理者側から見た用地取得」
私は、マンション管理組合という少し変わった特性をもった団体とお付き合いをするときのポイントを重点的に説明しました。
私が常日頃から申し上げているマンション管理組合の特性としては以下の通りです。

  • 多額の資産を専門的知識に乏しい人たちで管理する。
  • 意思決定にとても時間がかかる。
  • 外部の有益な情報がなかなか入手できない。
140925seminar-02.JPG この日はなんと200名近くの参加者でした。
このセミナーはシリーズものになっていて、今回は私で4回目のセミナーとのことでしたが、一番の盛況だったそうです。
私もかなり緊張しました。
140925seminar-03.JPG 私はあまり自信がなかったのですが、結果は意外と好評だったようです。後日公社の方からアンケート結果や感想等を送っていただきましたが、それを読んでいるとだんだん恥ずかしくなり、電信柱があったら何処までも昇って行きたいような気分になってしまいました。
特にうれしかった感想としては、「期待していた内容だった。管理組合や区分所有者とハードな交渉をしていくには、信頼関係の構築が重要だということが良く理解できた。」というコメントでした。

投稿者プロフィール

重松 秀士
重松 秀士重松マンション管理士事務所 所長
プロナーズ理事(開発担当・監査人兼務)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー、再開発プランナー、二級建築士、二級建築施工管理技士、建築設備検査資格者、甲種防火管理者、甲種危険物取扱者。
大手タイヤメーカー勤務を経て、平成15年2月マンション管理士として独立。財団法人マンション管理センターで嘱託社員として「マンションみらいネット」の立ち上げや「標準管理規約」第22条に対応する「開口部細則」の制定に従事。現在は約40件の管理組合と顧問契約を結びながら継続的な管理組合運営のサポートを行いつつ、大規模修繕工事や給排水管更新工事、管理コストの削減、管理費等の滞納、管理規約の改正等の個別コンサルティングを実施している。