管理組合が行う大規模修繕工事の検査には、中間検査や竣工検査等がありますが、最も重要な検査は「足場解体前検査」です。文字通り、足場が解体される前に足場に上って外壁やバルコニーの不具合等を確認する検査となります。
今回は足場解体前検査について少しお話させていただきます。
大規模修繕工事においては、外壁やバルコニーに関する工事が終了したら、直ちに外部足場の解体作業に入ります。理由は、以下のとおりです。
- ほとんどの工事会社は、外部足場についてはリース契約で使用しているため、不要になったら速やかに返却し、余計なコストをかけたくないこと。
- 外部足場や養生ネットは、居住者から見ると生活上鬱陶しいため、なるべく早くとってあげたいこと。
中間検査は、工事中の検査なので、その後にまだ対応する時間がたっぷりありますし、竣工検査は引渡前の検査で、管理組合が行う検査は、ある意味ではセレモニーに近い検査となります。
それに比べて、足場解体前検査は、外壁に関する工事が完了すると足場がなくなってしまいますので、どうしてもその前に検査をして、不具合があった場合は直ちに対応する必要があります。
技術面を主体とした専門的な検査は専門家がやってくれますので、管理組合が検査を行う場合のポイントは、「仕上りがきれいになっているか。」、「施工ムラがないか。」などを中心に見ていけばよいと思います。
この日は重松マンション管理士事務所が大規模修繕コンサルティングでお世話になっている東京のマンションで足場解体前検査が行われましたので、神奈川オフィスの横倉マネージャーと一緒に足場に上って検査を実施してきました。
当日の様子
神奈川オフィスの横倉啓子マネージャー 彼女も建築士資格を持っているので、足場に上ることには慣れています。 この日も、設計監理者と一緒に検査立会いです。 |
設計監理者から詳細説明を受けています。 私たちが気付きにくい点や見落としやすい点を具体的に説明してくれました。 |
これは、タイル面の汚れが残っている個所です。 検査用のテープを貼って、手直し工事の対象であることが分かるようにしています。 |
検査の番外編です。 これは足場繋ぎ(壁繋ぎ)と呼ばれるもので、足場が倒れないように壁面から控えをとっています。 足場解体の作業と同時に取り除き、タイルを貼りなおして仕上げていく部分です。 足場の解体は鳶工(トビ)、タイルの修復はタイル職人が同時作業で進めていきますので、コンビネーションが大切な作業となります。 |
投稿者プロフィール
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プロナーズ理事(開発担当・監査人兼務)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー、再開発プランナー、二級建築士、二級建築施工管理技士、建築設備検査資格者、甲種防火管理者、甲種危険物取扱者。
大手タイヤメーカー勤務を経て、平成15年2月マンション管理士として独立。財団法人マンション管理センターで嘱託社員として「マンションみらいネット」の立ち上げや「標準管理規約」第22条に対応する「開口部細則」の制定に従事。現在は約40件の管理組合と顧問契約を結びながら継続的な管理組合運営のサポートを行いつつ、大規模修繕工事や給排水管更新工事、管理コストの削減、管理費等の滞納、管理規約の改正等の個別コンサルティングを実施している。
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