西日本を中心に記録的な大雨による被害をもたらした「平成30年7月豪雨」。分譲マンションでも断水をはじめ、浸水などの一定の被害が発生していた。このため、被害に遭ったマンションに飲料水を提供するなどの支援を行った管理会社もある。設備が完全に復旧していないケースもあるようだ。
特に被害の大きかった中国・四国地域で約710棟を管理している穴吹ハウジングサービス(本社香川)によれば、広島県三原市の3棟201世帯と、同県呉市の6棟422世帯で断水の被害があった。管轄の水道局の本管に汚水が流れ込んだ影響から、マンションの受水槽や給水ポンプ内にも汚水が入ってきてしまうトラブルが発生したところもあったが、7月20日時点でおおむね復旧。住民は普段通りの生活が送れているという。
管理組合への支援では、三原の3棟に対し水2リットル6本入りのケース201箱を支給した。呉の6棟には水2リットル2本入りのケースを全世帯に配った。断水期間はマンションによって異なるが、おおむね7~10日間程度だった。
同地域で785棟を管理している穴吹コミュニティ(本社同)では、48棟で被害があった。そのうち8割以上の42棟が広島県内のマンションで、広島・呉の両市が各6棟、三原市15棟、尾道士13棟、福山市2棟。岡山県岡山市5棟、愛媛県松山市1棟でも被害があった。
被害内容は断水が37棟で最多。給水ポンプが浸水するなどして断水した。広島・福山・松山市などでは駐車場やエレベーターピット、エントランスなどへの浸水が計9棟あった。地下ピット浸水に伴うエレベーターの停止や機械式駐車場の漏電による停止も計7棟あった。雨漏りなども報告されている。
専有部分では、岡山市のマンション3棟で1階住戸(計16戸)が床上浸水した。岡山に加え。広島市で駐車していた車の浸水被害も多発したという。
同社は、協力会社の支援を得て、被害の長期化が想定された三原市などのマンションに給水車による飲料水の提供や、簡易トイレキットを戸別に無償提供する支援を行った。ただ呉については交通が遮断されていたため「支援が行き届かなかった」としている。
現在、共用部分の浸水は解消され、エレベーターや機械式駐車場もほぼ復旧しているという。断水は7月17日までに全て復旧し「ほぼ日常に戻りつつある」が受水槽の清掃や給水ポンプの交換などが必要なケースもあり「本復旧はしばらく時間がかかる予定」としている。
今回のような豪雨や台風による洪水・土砂崩れなどの被害を補償するのが水災保険だ。
一般社団法人日本損害保険協会によれば、共用部分のマンション総合保険では特約にしていたり、基本プラン内に組み込んでいたりと、保険会社によって異なる。専有部分も同様だ。水災保険の適用条件は「各社で決めているので一概に言えないが、一般的に地盤面より45センチを超える浸水が多い」という。
先述の穴吹コミュニティーでは、被害に遭った48棟のうち、水災保険の付保を確認できたのは21棟と半分近かったが、浸水の度合いから「保険支払い要件を満たす物件は数件にとどまると想定している」としている。
投稿者プロフィール
- マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者
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