現場従業員の雇用、1年前より厳しいー。一般社団法人マンション管理業協会(管理協)が11月15日に公表した「マンション管理トレンド調査2019」結果で、7割近くの会員企業がそう回答している。2割以上は現場従業員が「大いに不足」している、と答えた。

調査は今年初めて実施。管理業の総合的な基礎資料とする目的で▽IT活用の取り組み状況▽電子契約の利用状況▽消費増税への対応▽外国人居住者への対応状況▽現場従業員の雇用状況ーなど7項目について尋ねた。調査期間は4月22日から8月31日。

IT活用の取り組みAI(人工頭脳)・IOT等の先進技術の導入は「情報収集、検討中」が44.5%。34.5%は「関心がない」と答えた。「現場で導入中」は0.9%にとどまったが「試験的に導入」が9.4%あった。

今後は「費用対効果次第で導入したい」が62.3%で最多。「将来も導入しない」が17.9%で続いた。

導入したい事案は「現場現金のキャッシュレス化」と答えた会員が最も多く、111社。「重要事項調査報告書のオンライン化」が95社で2位。

フロント担当社員のIT環境は「携帯電話」、いわゆるガラケーが168社でスマートフォン(158社)を上回っている。

 電子契約

49.5%が「導入する予定はない」。「現在、検討中」が24.8%、「一部で導入」は3.0%、「積極的に導入」は0.6%しかなかった。

消費税への対応

修繕積立金については会員社を通じ受託組合員ごとの状況を調査。修繕資金計画の影響などを尋ねた。解答組合数は6万870。

資金計画における増税の影響は「影響なし」が54.8%でトップ。「資金不足となる」は45.2%。このうち対策済みまたは対策予定中とした中で、最も多かった対応策は「積立金の改定」(49.2%)だった。

管理費は、増税の影響で単年度収支が赤字になった管理組合は「1割未満」とする回答が75.5%で最多。委託費には増税分を「当然に転嫁する」が80.3%を占めたが「できれば転嫁したい」と、転嫁するか迷っていると考えられる回答も8.9%に上った。

外国人居住者

「管理運営上、問題等が生じているか」の問いには「今のところないが、懸念はある」が41.5%で「問題が発生している」は33.4%。課題・問題点は「ゴミ出しルール・マナー」とする回答が最も多かった。

 

 現場従業員雇用状況

1年前より「厳しくなっている」が67.8%で最多。「変わらない」が20.1%で続く(グラフ参照省略)。直近1年間の過不足状況は「やや不足」が最も多く57.3%。「大いに不足」「適当」がそれぞれ21.2%。

外国人労働者は80.2%が受け入れていない。採用しているのは8.5%にとどまり、今後の受け入れも「検討していない」が77.9%だった。

以上、マンション管理新聞第1122号より。

投稿者プロフィール

福井 英樹
福井 英樹福井英樹マンション管理総合事務所 代表
マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者