「59条競売請求できない。」判例から学ぶ管理規約  福井英樹マンション管理士・区分所有管理士 

 福井英樹マンション管理士が参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会の「判例研究会」教材判例(最高裁H23.10-11判決)
概要:多額の未払い管理費につき、最終手段として59条競売を請求し、認容判決を得たが、判決確定前に持ち分の一部を第三者に譲渡。
裁判所の判断:第三者が関係者に加わった時、同じことを繰り返すとは「その譲受人がこの様な属性を有しているとは、当然には言えない」以上、第三者を含んだ相手方に対しては、59条競売を申し立てることは出来ない。従って、新たな第三者を(関係者)も含んだ別訴を提起すべきである。
→これでは、単に繰り返すだけであり、問題の解決が図れない。区分所有法57,58、59条に及ぶ場合は、留意点を明文化しておく。
わが判例研究会では、標準管理規約第66条に第二項を付しました。           第66条 区分所有者又は占有者が建物保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。
2 区分所有法第59条(区分所有権の競売の請求)に基づく侵害行為の排除という形式的競売であっても、譲受人(当該共有持分の譲受人含む)は、前区分所有者の債務を引き継ぐものとし、滞納管理費、滞納積立金及び遅延損害金その他債務を落札時に速やかに管理組合に支払わなければならない。
当該規約がどれほどの効を奏するかは別にして、少なくとも裁判官等の心象に少なからず影響を与えるものと推測します。なお、上記債務を引き継ぐ証及び管理規約の遵守を証する為に誓約書を提出しなければならないものとしておかなければならないでしょう。
 

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地域コミュニティーにも配慮した居住者間のコミュニティー形成の費用とは?福井マンション管理士・区分所有管理士

 標準管理規約第27条第10項に、小職も参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会「判例研究会」では、提案として、付則をつけております。『管理組合は、当該マンション内自治会並びに周辺自治会への参加は個人参加とし、管理費からは充当できないものとする。但し、管理組合として当該マンション内自治会並びに周辺自治会への参画が、居住者の社会生活のコミュニティー形成に寄与し、委託する業務の対価、監査方法に蓋然性が認められる場合は、この限りではない。』
として、あいまいな表現を排除し、より具体の表現で、管理組合の地域コミュニティー形成への参画に対して、ポジティブな表現をとりいれております。
なお、来る10月19日に千葉・浦安で当該「コミュニティー」をテーマにシンポジウムが開かれる。マンション管理の主要4団体(一般社団法人日本マンション学会、NPO法人全国マンション管理組合連合会、一般社団法人マンション管理士会連合会、一般社団法人マンション管理業協会)が参加し、上記コミュニティーの必要性の是非や適切な法制度・政策について議論する。共同提言も予定しているとのこと。小林秀樹日本マンション学会会長、山本育三全管連会長、親泊哲日管連会長、山根弘美管理協理事長の4氏が基調講演する。また、鎌野邦樹日本マンション学会副会長も参加し、講演者4氏とコミュニティーの法的解釈を踏まえて意見交換する。主催・共催団体の会員・賛助会員は参加無料。非会員は一名1000円。定員300名。
申し込みはfax03-5294-7326または、メールjimu@jicl.or.jp
問い合わせは事務局03-6206-4668

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大規模修繕工事を理由に振り込め詐欺 (一社)マンション管理業協会

 東京都内のマンションの区分所有者に8月下旬ごろ、大規模修繕工事費用の振り込め詐欺とみられる電話がかかってきたことが分かった。会員から報告を受けた一般社団法人マンション管理業協会(山根弘美理事長)によれば、実被害はなかったとのこと。当該マンションでは7月に大規模修繕をおえていた。電話をかけてきた人物は、発注金額よりも数百万円オーバーしたので追加金額を払ってほしいなどと話していた。具体的にどの工事がオーバーしたのか、また、具体的支払先等の話はなかった。不審に思った当該区分所有者が管理会社に連絡して発覚。管理協は、「管理組合のお金を個人の一存で支払うことは絶対ありません。今回の件は稚拙で実現性は低いが、会員には注意を呼び掛けている」と話す。本件のように大規模修繕工事に絡めた案件は、これまでにないもの。
 

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大規模修繕のアフター保証、7年に延長  長谷工リフォーム

 従前の5年の外装塗装工事とシーリング工事を7年に、同2年の鉄部塗装工事を3年に、それぞれ延長する。延長の伴う工事費の増加はない。引き渡しの際に保証期間延長保証書を発行する。希望住戸には建物診断の専門チームが訪問して、アルミサッシの・網戸の開閉および建てつけ調整。玄関ドア・キッチン・洗面ドアの開閉調整、水栓からの水漏れ点検を行う。今後、長谷工が設計・施工した築10年程度の分譲マンションを中心に提案していく。

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シェアハウスは共同の利益に反する管理規約違反? マン管新聞第916号

 間取りを細かく区切り、本来1つの住戸を細かく区切り、複数に貸し出す、「シェアハウス」として専有部分を使うのは違法だ。住戸を競売で取得した都内の不動産業者を相手に「シェアハウス」としての住戸の使用禁止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。管理規約違反を使用禁止請求の根拠にした。9月中に裁判所の決定が出そうだ。
管理組合は「そもそもシェアハウスのような利用形態は想定していない」「不特定多数の者を入居させると、見知らぬ者同士の共同生活によるトラブルが発生する可能性が高く、平穏な利用を害する」「シェアハウス使用による高額の賃料収入は得られなくても、通常の使用は妨げられるものではなく、これを他の区分所有者の受ける不利益と比べれば。当該規約改正は合理性を欠くとはいえない」と述べ、「特別の影響には当たらない」と反論している。
これに対し、業者側は当該使用禁止の改正は区分所有法31条1項の「特別の影響」に当たる、と訴え、本人の承諾を得ていない「規約改正は無効だ」と主張している。
 

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半沢直樹日曜ドラマを見て驚きました。パートⅡ 福井英樹マンション管理士・区分所有管理士

 9月15日の第9編を見て一言。銀行では「出向」というのはダメ烙印を押された行員の片道切符だったのですね!しかも、給料は当該出向先のレベルになってしまうのでしょうね?小職が㈱阪急百貨店で拝命した出向はむしろ逆で、片道切符ではなく、常に交流人事異動が行われており、給与面も全く本社と同レベルで、むしろ同じ会社にいながら、業界の違う他社を経験することができ、自分を高めることができました。
小職の場合は、マンション管理会社の第三セクターへの異動でしたが、同7年間は非常に充実したもので、百貨店に在籍しながら、一大ショッピングモールの販促活動や事務局を一手に任せられたり、区分所有法との出会い、グロービスマネジメントスクールとの出会い、中心市街地活性化法に伴うお国や行政との交流もあり、やりがいのある貴重な経験を積むことができました。今ではそれが財産となっており、名実ともに現在の立場は、まさしく、当該経験のおかげと感謝しております。
それに昇給・昇格に関しても、本社での上司の不当評価を飛躍的に巻き返すチャンスでもありました。
だから、半沢ドラマの「出向」が人事異動の墓場のように言われているのが極めて、驚きであり、当該ドラマ第9編の後半部分で、半沢の同期の同僚、近藤が大和田常務から「行員にもどしてやる」=「出向先から戻してやる」という甘い誘惑に乗せられてしまうところで、ドラマは次週に続くことになりましたが、百貨店マンの出向は百貨店マンのままであり、昇進逆転の場でもありましたので、全くピント来ないものでした。
ところで、第10編の予告編では、「半沢は100倍返し」と言っていましたが、上記阪急関連とは無関係ですが、トカゲのしっぽを切ったと思っている悪人の方には、安住の地は本当にないですよ!善人のトカゲの尻尾は、一生暴れますから!ご期待ください!

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「苦情解決事例集」発行  (一社)マンション管理業協会

 一般社団法人マンション管理業協会が『平成24年度苦情解決事例集』を発行し、販売を始めた。昨年度の苦情・相談受付状況と苦情解決事例、一般相談事例を掲載しているが、とくに毎年興味深い事案が寄せられる一般相談事例は今回14件ピックアップしている。
主な相談事例は下記に示す。
A4版。30ページ。200円(税込)
●「専ら住宅として使用する」旨の管理規約がるマンションで、「住宅兼事務所」として使えないかという相談があったが、どう対処すればよいか
●管理費を20%増額する総会議案に対し、出席者の間で「10%が妥当」との結論に達したが、議長裁量で修正決議を上程できるか
●「5分の一以上」条項を使って総会を招集する際、当該区分所有者全員の氏名を明らかにして総会を招集しないといけないか
●期限の定めのない管理委託契約を結ぶことは問題ないか

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日管連定時総会開催  (一社)日本マンション管理士会連合会

 一般社団法人日本マンション管理士会連合会(親泊 哲会長)は8月27日、東京・四谷の主婦会館プラザエフで第5回定時総会を開き、倫理規定改正案など提出議案全部を可決した。任期一年の役員改選では親泊哲会長が再任された。4期目となる。業務受託は管理士個人や個人主宰の事務所等を基本とする考えにたち、会員会には管理組合等との業務受託を禁止する。福井英樹マンション管理士も同会に所属していますが、13年6月1日現在、会員49団体・所属管理士は2149人。
懇親会には自民党の小池百合子・小林鷹之、公明党の井上義久、民主党の前田武志の各国会議員が参加し、マンション管理士法制定に向け理解を示していた。
 
 

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設計・監理コンサルタント募集  兵庫・三田メロディーハイム三田公園管理組合 マン管新聞第916号

構造・規模 SRC14階建て4棟 185戸
竣工年 1991年
業務内容 第2回大規模修繕における調査・診断、設計・監理、業者選定ー助*2014年竣工予定
応募条件①近畿近郊に事務所が所在②一級建築士事務所登録③一級建築士が3人以上在籍④過去5年間に150戸以上の物件での大規模修繕設計・監理実績が10件以上⑤施工業者・材料メーカーと関連がない⑥民事再生法の適用がない⑦過去に管理組合とのトラブルがない⑧資格取得後5年以上実務経験がある一級建築士が担当できる⑨資本金2000万円以上
提出書類 ①概算見積書②会社概要、代表者経歴書③決算報告書直近3年間④有資格者リスト※コピー可。各二部提出
提出先 〒669-1547三田市富士が丘1の19メロディーハイム三田公園管理事務所気付大規模修繕委員会宛※郵送・宅配
締切 9月20日必着
問い合わせ先 melody3p@rhythm.ocn.ne.jp
 
 
 

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元社員の着服で指示処分         国交省四国整備局

 国交省四国地方整備局は去る7月31日、穴吹ハウジングサービス(本社香川、穴吹キヌエ社長)に対してマンション管理適正化法81条1号に基づく指示処分を行った。 
処分理由は、元フロント担当者と元管理員の管理組合財産の着服。被害にあったのは福岡県内の7管理組合で、11年から12年に現金等約330万円を着服していた。元フロント担当者は6組合で架空の工事請求や小口現金等約290万円を着服。管理員等から受け取った施設利用料金等を組合口座に振り込まず、年払いの役人報酬も当人に渡さないなどの方法で着服もしていた。
元管理員は1組合で備品購入の際に自らの生活用品等を購入するなど37万円を私的に流用していた。被害金額は同社が弁済。同社では再発防止策として、原則現金は扱わず、各種使用料、管理費等未収金、役員報酬等は口座引き落としや振込に変更を進める。管理事務室で保管する備品購入用小口現金も原則廃止し、カタログ等での一括発注にするなどの取り組みを打ち出している。

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